RFC 9113 (HTTP/2) 日本語訳
HTTP/2 の仕様の改訂版となる RFC 9113 をちゃんと読む機会があったので、内容を読み込むついでに日本語訳も進めて RFC 9113 日本語訳として公開した。前回の日本語訳の日付を見て、RFC 7540 が公開されてから7年も経過していることに気づいてびっくりした。
RFC 9113 で HTTP/2 の仕様がどう変わったかと言うと、h2c のアップグレードがなくなったり、PRIORITY フレームの扱いが非推奨になったり、サーバープッシュを効果的に使うことは難しいと明記されたりした。RFC 7541 で入った当時は面白いなぁと感じていたコンセプトや機能たちが、実際に使うのが難しかったり、あんまりデプロイされて使われないといった結果になり、そのフィードバックが反映された内容になっている。
翻訳中に QUIC の仕様と混同している記述があるのを見つけたので、Errata を報告した。RFC の Errata を報告するのは初めてだったので、結構気軽に報告できるものだなぁと勉強になった。Twitter で「報告してみては」と言ってくれた IETF QUIC WG の Lucas 氏には感謝したい。
HTTP/2 の仕様の日本語訳については SPDY の頃から細々と公開を続けてきたが、以前よりも DeepL などの翻訳サービスの技術や精度は向上しているし、なにより RFC 自体が比較的平易な英語で記述されていて読みやすいので、日本語版を作成して公開するのは今回で最後にしようと思っている。とはいえ、個人的には久しぶりに RFC を読み込んでだいぶ面白かったので、また時間を見つけて興味のある RFC をじっくり読みたいと思う。