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STS-131 打ち上げ見学ツアー 3日目 その1

2日目の続き。日付は4月5日。いよいよ打ち上げの日。打ち上げ招待客はココアビーチの集合場所に2時50分集合とのことだったので、渋滞などを考慮して念のため0時半にはホテルを出ることにする。ところが仮眠から目覚めた時点ですでに0時半をまわっていて、慌てて準備をしてなんとか1時過ぎにホテルを出発。ふぅ、あぶない。

心配していた渋滞などはなく、ココアビーチには1時半過ぎに到着。よかったよかった。集合時間までは駐車場でうだうだしてから、打ち上げ見学の受付を済ませ、移動のためのバスに乗車。今回は打ち上げ見学をお手伝いするNASAの担当職員が同行し、打ち上げに関する説明とNASAの公式ドキュメントが配布される。ドキュメントにはステッカーなんかもおまけでついていて、このあたりはさすがNASAはよくわかってるなぁ。

STS-131 Launch Viewing

4時過ぎには打ち上げ見学場所となるバナナクリークに到着。バナナクリークは、前日に来たApollo/Saturn V Centerの真横に位置する観覧席で、バスが到着した時点ですでに多くの観客がいてびっくり。まずは適当にカメラ用の三脚をたてて場所を確保してから、6時21分の打ち上げまで近くに設置されていたカウントダウンクロックの前で記念撮影したり、有人ロケット研究会の方々が撮影された応援横断幕の撮影を手伝ったりして過ごす。いやー、お祭りムードで楽しい楽しい。

6時を過ぎたあたりで、ISSが上空を通過とのアナウンスが流れ、観客たちが一斉に空を見上げる。みんなでどこだ?どこだ?といいながら見ていると、南西にすーっと動く光が見えたので、きた!と思わず叫ぶと同時に会場からは拍手が。ISSはそのまま動き続けて月の前を通過。会場は大興奮で拍手喝采。さらにそこから2分ぐらいかけて、ISSは打ち上げを待つディスカバリーの先の地平線に消えていった。会場の雰囲気も素晴らしく、これだけでもすごい感動的。

ISSを見終えたあたりで、もうやるしかない、ということでNASA音頭ハッピを着て、みんなでNASA音頭を踊る。当初の予定ではニコニコ生放送で中継する予定だったのだけど、回線状況が悪く中継なしで録画のみとすることに。NASA音頭の音楽が流れ出し、kazuhitoさんの音頭でみんなで踊る踊る。近くのアメリカ人の方がすぐに気づいてくれて、最後には周りから大きな拍手ももらえたりして嬉しかったです。NASAでNASA音頭を踊る企画、大成功。

STS-131 Launch Viewing

NASA音頭を踊り終えたら、もうあとは打ち上げに集中。カウントダウンはすでに再開されており、国歌斉唱が始まる。自分も歌詞が分からないながらも音を口ずさむ。国歌が終わって気づけばもう1分前。緊張する。1秒1秒が長く感じられる。とりあえず「Go Naoko!」と叫んでみたりする。15秒前。射点での散水開始のアナウンス。10秒前。会場全体でカウントダウンを読み上げはじめる。6秒前。SSMEが点火され、射点の周りパッと明るくなって白い煙がわきおこる。5、4、3、2、1、0。まばゆい光に包まれて、シャトルが上昇を開始する。

STS-131 Launch Viewing

シャトルがタワークリアをしてから、SSMEの点火音が轟音となってようやく聞こえてくる。つづいてSRBのバリバリという音、今回の打ち上げでは本当によく響く。音というよりは本当に衝撃波そのものとして体に伝わり、着ていたNASA音頭ハッピの裾までピリピリと震える。その間もシャトルは上昇を続け、太陽光が当たる一定高度以上の噴煙は白く輝いて伸びていく。

打ち上げから126秒後、SRBが分離。双眼鏡で赤い光がくるくると分離するのがよく見える。そして太陽光で白く輝きながら伸びていた噴煙はここで途切れ、かわりにSSMEの噴射煙が薄く伸びていく。フロリダの天気は快晴で空気も澄んでいるため、地平線に近づいていくシャトルのSSMEの光をずっと双眼鏡で追い続けることができる。背景は朝焼けの鮮やかなグラデーション。あぁ、なんて美しいんだろう。

ふと気づくとシャトルの光は地平線の向こうに消え、空にはシャトルが残した長く伸びた雲だけが取り残されていた。バスに乗車しなければならない時間が迫っていたので、ついに山崎さんは本当の宇宙飛行士になれたんだな、などと物思いふけりつつ、周りにいた人たちで順番に記念撮影をしてから撤収。山崎さん、本当におめでとうございます!

STS-131 Launch Viewing

バスに乗り込むと、空に取り残された雲が形を変え、非常に美しい絶妙な色合いに。バスはすぐに出発して、ようやく出てきた太陽の光を浴びながらココアビーチの集合場所に帰還。いやー素晴らしい打ち上げでした。フロリダまで応援しに来て本当によかった。

さて、僕はこれからどうしようか。その2に続く。

Moto Ishizawa

Moto Ishizawa
ソフトウェアエンジニア。ロケットの打上げを見学するために、たびたびフロリダや種子島にでかけるなど、宇宙開発分野のファンでもある。