Steve Jobs
もうあらゆる場所で語り尽くされていると思うのだけど、これだけは書かかねばなるまい、と思い久々にブログを更新する。
Steve Jobsの訃報を知ったのは、会社に向かう通勤電車を待っている時だった。TwitterではすでにAppleのWebサイトのURLが広まっていて、これは事実だとすぐに分かった。そう遠くない未来、必ずやってくることだと思ってはいたけれど、訃報をきいてやっぱりショックだった。
初めてMacを買ったのは、中学3年生。当時発売されたばかりのiBook (Dual USB)というモデルを、お年玉の貯金を全てはたいて、足りない分は親にお金を借りて買った。初めての自分専用のPCだったし、ポリカーボネートの真っ白な筐体が美しかった。Mac OS X 10.0がインストールされていて、とても遅くて使い物にならなかったけど、そのUIはとびきり美しかった。
しばらくしてからMac OS X 10.1が無料配布された。動作速度が改善されて普段使いのOSとしてなんとか使えるレベルになった。この時点で自分はすっかりMacの魅力に取り憑かれ、新製品の噂をニュースサイトで毎日追うようになった。当時、新製品の発表会は必ずAppleのWebサイトからライブストリーミングがみれたので、翌日の学校のことなどは考えずに、深夜に中継される魔法のようなSteveのプレゼンを見て、何度もワクワクした。
iPodがブームになり、Appleの知名度もすっかり上がった2007年1月、大学1年生になった自分は、「Steveのプレゼンが生で見たい」というただ1つの夢を叶えるためにサンフランシスコで開催されるMacworld Expo 2007に参加した。初めての海外一人旅、英語がよくわからず、翻訳サイトを駆使して基調講演に参加できる権利のついたチケットを買い、Steveのプレゼンが聞き取れるように通学中にWWDC 2005の講演を何度もiPodで聞いて特訓した。おかげでWWDC 2005の講演内容はスラスラとSteve口調で言えるようになったけど、英語は相変わらずよくわからなかったし、聞き取れなかった。
基調講演当日は、午前4時から並んだ。午前10時ギリギリに開場になり、会場の一番後ろのブロックの真ん中に座ることができた。普段はライブストリーミングでしか見れない会場の雰囲気に圧倒され、興奮した。Steveが登壇して基調講演が始まると、いつもの魔法のようなプレゼンがあっという間に過ぎていった。目の前で講演を聞くと、英語がわからなくても意味は十分理解できた気がした。とにかく楽しかった。iPhoneの発表を終えたSteveは最後にAppleの社名から"Computer"を外すことを発表した。立ち上がる観客、湧き上がる拍手、自分も思わず立ち上がって拍手していた。いまでもあの瞬間が忘れられない。
こうして振りかえると、自分にとってSteve Jobsとは青春時代の大事な思い出の1ピースだったんだと思う。だからいなくなるのは寂しいし、大事な思い出が失われるような気がしてしまう。もうあの魔法のようなプレゼンが見れないことも、とても悲しい。Steve、とにかく今までありがとう。次はSteveの"いた"世界で、新しいワクワクを探して生きていくことにしよう。