スペース・ツーリスト
東京国際映画祭でスペース・ツーリストが上映されるとの情報をききつけたので、事前にチケットを購入して観に行ってきました。詳しい事前情報なしで観に行ったので、2006年9月に初の女性宇宙旅行者となったアニューシャ・アンサリ氏にフォーカスした映画なのかと思っていたのですが、いい意味で裏切られました。
映画ではもちろんアンサリ氏の登場シーンは多いのですが、ロシアの宇宙開発に関連する風景や様々な人々、それに関連するエピソードが多く登場します。ソ連時代の宇宙開発に関するアートが描かれたカザフスタンのアパート、そこに暮らす人々、野ざらしになったブラン、組み立て中のソユーズのすぐ下で堂々とモップをかけるおばちゃんなどなど。良くも悪くも「枯れている」ロシアの宇宙開発模様がよく伝わってきます。
エピソードとしてとても興味深かったのは、ソユーズの切り離されたブースターを回収して暮らす人々の話。彼らは打上げ前日から、ブースターが落ちてくる軌道の下であるカザフスタンの草原で待機し、打上げの直後に落ちてきたソユーズの4基のブースターを目視で確認して回収に向かいます。落下地点に到着すると、ブースターの残骸からタンクとして使われるパーツを取り出して、水を入れ、それを鍋かわりに使ってキャンプをしながら、ブースターを細かく鉄くずに分解して回収するそうです。こんな生活をしている人たちが本当にいるのか驚きでした
他にもARCAのロックーンのエピソードも含まれるなど、宇宙開発ファンとしてはみどころ満載の映画だったので、是非ともBlu-ray / DVD化を希望したいところ。調べたところ海外でもDVD化すらされていないようなので、期待はできないかもしれませんが…。