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オーランド旅行 2日目 その2

その1の続き。いよいよ、シャトルの打ち上げを観るために、射点から8kmほど離れたビューイングサイトにバスで移動します。このビューイングサイトには、特別なチケットが必要なうえ、バスなどはすべて危険物がないかチェックが行われるなど、セキュリティが厳しくなっています。

Kennedy Space Center

打ち上げ2時間半前の17時25分ごろにビューイングサイトに到着。ちょうど到着した時に海の向こうに太陽が沈んでいきました。ビューイングサイトには比較的早めに到着できたようで、最前列に場所を確保。持ってきた三脚を立てて、カメラをセッティング後、打ち上げ時刻までひたすら待ちます。

ちなみに、今回持っていったレンズはSIGMAの28-300mmという安いズームレンズですが、望遠側がぜんぜん足らず、発射台とシャトルは豆粒程度にしか写りませんでした。本格的に写真をとるのであれば500mmぐらいは必要じゃないかなと。

Space Shuttle Launch

18時をすぎると周りも真っ暗になり、遠くに39A発射台とそこで打ち上げを待つエンデバーがライトアップされて光っているのがよく見えます。南よりの空からは少し欠けた月がのぼり、水面すれすれにたくさんの鳥が飛んでいくなど、少し幻想的な風景にも見えました。

発射までの時間、同じく見物に来た周りの人々は、打ち上げの写真をうまくカメラにおさめる方法を議論したり、一緒に来た家族に打ち上げの段取りを説明するなどしていましたが、打ち上げ10分前からは時間が気になるからか「あと10分だ」と時間を告げるひとが続出。自分も同様に時計を気にしつつそわそわしてました。そして、ついに遠くのスピーカーから打ち上げ実行のアナウンスが流れ、打ち上げまで2分45秒と告げられます。周りの人は一斉に静かになり、発射台に釘付けに。自分も時計を気にしつつ、双眼鏡で発射台を凝視します。

気づくとカウントダウンは10秒を切り、「いよいよだ」と思った瞬間にはシャトルの周りにパッと光が広がり、メインエンジン (SSME) がスタート。同時に自分は少し慌てながら、10秒後に10枚連射する設定にしておいたカメラのシャッターボタンを押し、双眼鏡ごしにシャトルが打ち上がる瞬間を待ちます。

Space Shuttle Launch

一瞬の後、固体ロケットブースター (SRB) も点火され、まばゆい光を放ちながら、シャトルがゆっくり動く。「上がった!」と思ったと同時にシャトルは一気に加速し、真っ暗な夜空へ。周りから歓声や拍手があがる中、ようやく「ゴゴゴゴ」というSSMEの点火音が遅れて聞こえ、その直後に「バリバリ」とシャトルの打ち上がる音が伝わって、空気を揺らします。そのままシャトルは大きな音で空気を揺らしながら、大きな光の弧を描いて大西洋上に上がっていきました。

Space Shuttle Launch

打ち上げから2分後、そろそろ双眼鏡でもシャトルが光の点にしか見えなくなりつつあるあたりで、SRBが分離。赤く輝きながら2本のSRBが夜空に落ちていきます。この後、シャトルのSSMEの光が少しづつ薄くなり、ついには見えなくなって、打ち上げは無事終了。

終了後はとにかく打ち上げの迫力に圧倒され、また感動しつつ、乗ってきたバスに戻り、帰路へ。打ち上げには毎回10万人以上がケープカナベラルに押し寄せるそうで、帰りはいつも大渋滞だそうです。今回の打ち上げでも高速道路が大渋滞になり、ホテルに戻ってきたのは打ち上げから3時間以上経過した23時過ぎ。この日1日の様々な出来事に思いをはせつつ、旅の疲れもかさなってそのままベッドへ。

打ち上げは時間にしてほんの数分の出来事でしたが、とても感動しました。NASAの映像などで打ち上げのシーンは何度も観てきましたが、やはり実際の打ち上げを観にくるのと映像で観るのとはまったく違います。今回のような夜間の飛行では特に、まばゆい光を放ちながらシャトルが上がっていく光景は目に焼き付きますし、打ち上げ時に聞こえる空気を切り裂くような轟音も現地にいないと体感できませんから。

2010年には退役が決定している (延期の可能性もありますが) スペースシャトルの打ち上げは、もう観ることができないかもしれませんが、十数年後、次の宇宙船オリオンの打ち上げにはまた立ち会ってみたいものです。

そうそう、今回の打ち上げはオーランド観光の打ち上げツアーに参加して観たわけですが、事前の問い合わせへの対応もスムーズで、ツアーでも快適に打ち上げを観ることができました。今後打ち上げを観たいと考えている方は一度問い合わせてみるといいかもしれません。

Moto Ishizawa

Moto Ishizawa
ソフトウェアエンジニア。ロケットの打上げを見学するために、たびたびフロリダや種子島にでかけるなど、宇宙開発分野のファンでもある。